
マンションや戸建て住宅などのマイホームを購入しようとするとき問題になるのが購入資金。
皆さんは、現金で支払うか住宅ローンを利用するかという選択に迫られるのではないでしょうか?
現金で支払う!という方はこの先は読み飛ばして頂いても構いません。
多くの方が住宅ローンを利用しています。
現在、史上最低金利と呼ばれ「不動産を購入するなら今だ!」と耳にすることも多いと思います。
しかし、よく考えず購入した不動産によって自己破産する人も多いことを知っておいて頂きたいのです。
なんと「自己破産の2割は住宅ローンが原因」という統計もあります。
住宅は人が健康的に生きていく上で必ず必要なものです。
そこで、今回は不動産を購入しようとするときに住宅ローンで失敗しない心得をお話したいと思います。
住宅ローンの返済シュミレーションが気になる方はこちらの記事がオススメです。
「専門家が伝授!住宅ローン返済シュミレーション3つの極意」
スポンサーリンク
目次
1.金利タイプをしっかり理解する
住宅ローンといっても金利タイプは様々です。
金融機関によっても金利は変わってくるので住宅ローンを選ぶというのは本当に大変なことなのです。
ここでは代表的な2つの金利タイプについてご説明します。
1.変動金利型
市中の金利変動によって住宅ローンの金利も変わるローンのことです。
ということは、当初は安かった金利がいつの間にか想定しなかった金利まで
上昇してしまう可能性があるということです。
聞いただけで恐ろしいですね。
しかも、大幅な金利上昇になると毎月返済額を払ったとしても
利息分が残ってしまう「未払い利息」という事態を招いてしまうのです。
これは、元金が減らないところか未払い利息が残って、元金が増えてしまう状態です。
例えば、毎月の返済額が8万円だったとします。
ところが、大幅な金利上昇によって毎月の返済額が9万円に変わりました。
この状態が4年間継続すると未払い利息は50万円以上になるのです!
この金利の切り替え時期ですが、市中の金利が上がった「5年後」に住宅ローンの
金利が上がります。
すぐさま上がるということではないことに一先ず安心ですね。
ここまでデメリットを多く語りましたが、メリットももちろんあります。
一番のメリットは他の金利タイプに比べて金利が安いことでないでしょうか。
1%以下で利用できる場合もあります。
また、金利上昇でのリスクをお話しましたが、金利は変動するので下がる可能性も大いにあります。
もしも金利が下がれば総返済額も少なくなります。
これはとてもいいことです。
現在、金利は安い状態が続いています。
その影響もあって変動金利型を利用している方が一番多いのです。
2013年の統計だと70%以上の方が変動金利型を利用しています。
10年などの比較的短期の住宅ローンには向いていると思います。
しかし、30〜35年という長期間の間に金利は上昇するリスクがあります。
変動金利を選ぶなら返済期間などを考慮して選ぶべきだと思います。
2.全期間固定金利型
これは言葉そのままで、金利が全期間変わらないというタイプです。
金利が上昇しても適用金利は全く影響を受けません。
そのため、完済までの返済額も変わらないので安心して返済計画を立てられます。
その代わり金利が下降しても金利は減りません。
これが全期間固定型のいいところでもあり悪いところでもあります。
しかし、日本の金利は世界的に見ても低い水準となっており中長期的に見れば
金利は上がる可能性が高いと言われています。
したがって、金利上昇リスクを回避できる全期間固定金利型が安全な住宅ローン
だと考えられます。
この全期間固定金利型も金融機関や返済期間によって金利は変わってきます。
より有利な住宅ローンを見つけて、少しでも返済期間を短くした方がいいでしょう。
それでは、変動金利型・全期間固定金利型の比較をしてみましょう。
条件:借入額3000万円 35年元利均等 ボーナス返済なし
全期間固定金利型(金利1.73%)
総返済額:約4000万円
変動金利型(当初適用金利が0.775%で、返済まで金利が変わらなかった場合)
総返済額:約3426万円
変動金利型(当初適用金利が0.775%で、5年ごとに金利が0.5%上昇した場合)
総返済額:約4009万円
変動金利型(当初適用金利が0.775%で、5年ごとに金利が1%上昇した場合)
総返済額:約4676万円
同じ住宅ローンでもこれだけの違いがでるのです。
変動金利型で金利が変わらなければ約550万円以上もお得になるのです!
これは見逃せませんね。
しかし、金利が上昇しつづけると約600万以上の損になってしまいます。
家計を圧迫することは間違いありません。
このように、住宅ローンには金利タイプによって金利は様々だということを
理解して下さい。
2.金利の交渉をしてみる
少額のローンであれば数%の金利の変動はそう大きなことではないでしょう。
しかし、住宅ローンのような大きな金額のローンでは数%の金利の変動が家計を圧迫する場合があります。
たった0.1%の金利の差が35年間で60万以上の違いになるのです。
0.2%では120万以上、0.3%では180万以上、これ以上は言わなくても分かると思います。
住宅ローンの金利の差は何百万円もの差を生みます。
だからこそ、できるだけ金利が安いものを選ぶべきなのです。
この金利ですが、交渉次第で下がる場合があることをご存知でしょうか?
名付けて「窓口で交渉した者勝ち大作戦」
まず、大前提として住宅ローンを利用できそうな金融機関をシラミ潰しに探しましょう。
ここができていないと何も行動できません。
次に、実際に調べて良さそうだと思った金融機関の相談窓口に直接向かいます。
職業や勤務先などの条件によって金利は変わってきます。
自分の職業などをきちんと伝えて金利引き下げの適用にならないか聞いてみましょう。
すると、人によってできるできないの答えがもらえると思います。
そうしたら、一旦そのまま体良く帰りましょう。
ここからが大作戦の醍醐味です。
今度は違う金融機関に行って同じことをやるのです。
窓口で金利引き下げの適用ができるか聞いてみましょう。
その際、別の金融機関の金利を持ち出し「これよりいい条件のローンはありませんか?」と
交渉してみましょう。
最近では、同じ銀行でも支店間の争いが激しくなっているので支店によって金利に差がある
ことがあるようです。
たかが数%の金利と馬鹿にせず可能性があるのなら
窓口大作戦を敢行してみて下さい。
3.住宅ローンを業者任せにしない
基本的に、不動産を買うときは不動産会社などの業者さんから購入すると思います。
その際勧められる住宅ローンが「提携ローン」です。
提携ローンとは、その不動産業者さんと提携している金融機関などの住宅ローンのことを言います。
メリットしては、手続きが楽であるという点です。
住宅ローンは「審査」を通らないと利用することができません。
審査は主に「個人の信用」「物件の信用」が問われます。
提携ローンは物件の審査を省くことができるのです。
後は、個人の審査さえ通れば住宅ローンを利用することができます。
また、金利が低く設定されていることが多く、非提携ローンと比べると大幅に金利が安いものもあります。
1%以下という驚きのものもあります。
このようにメリットがあるので、不動産会社の営業担当の方は
提携ローンを勧めてきます。
このような利便性や金利の低さや営業担当のプッシュもあって
4割近くの方がローンを業者任せにしています。
4割の方が営業担当に言われるがままに住宅ローンを決めているのです。
参考文献:2014年度 民間住宅ローン利用者の実態調査 P13(住宅金融支援機構)
しかし、提携ローンは大抵が「変動金利型」。
金利が上昇してしまえば大幅な負担増になります。
支払い当初は安い金利かも知れませんが、35年などの長期間のローンであれば
金利上昇の可能性は大いにあるのです。
また、提携ローンは不動産業者さんへの手続き代行料を支払わなければなりません。
本来自分でやらなければならない書類を代行してくれるので当然ですね。
おおよそ5万から10万程度です。
物件購入金額に比べると小さい金額かも知れませんが、
普通の金銭感覚では少なくない額です。
これらのことをきちんと考えて住宅ローンを決定しないと痛い目にあいます。
もちろん、35年もローンを払わないから変動金利の方がいいという方も
いると思います。
その方は比較的金利が安く手続きも簡単な提携ローンを利用されるといいと思います。
大事なことは、将来を見据えて返済計画を立て自分に合った住宅ローンを
選びましょう。
決して業者任せにせず考えて決断して下さい!
4.できるだけボーナス返済はしない
住宅ローンを利用するとボーナス返済をするしないで迷われる方がも多いと思います。
結論からというと「ボーナス返済はしない」方がリスクは減らせます。
勿論、ボーナスは変動せず決まった金額が出る!という方は利用しても問題ないと思います。
しかし、多くの企業は業績によってボーナスの額を決めているのではないでしょうか。
個人の業績も勿論ですが、企業自体の業績も関わってきます。
いくら個人で頑張っていても会社の業績が悪ければボーナスの額は減ってしまうでしょう。
この時、ボーナス返済を利用していたら・・・
例えば、ボーナスは大体40万円貰えているから毎月の返済額は6万にして
ボーナス返済を30万円に設定したと想定します。
毎年きちんと払えていましたが、会社が突然の経営不振に
なりボーナスが5万円しかでません。
しかも、この後何年もボーナスが増える兆しがありません。
こうなってしまったらどうしますか?
恐ろしくて考えたくもないですね。
しかし、これは現実に起こりうることなのです。
バブル崩壊後にローン破綻に陥った人の多くは
このボーナス返済が引き金になったと言われています。
また、ボーナス返済は総返済額をアップさせてしまうという
悲しいデメリットを持ち合わせています。
ボーナス返済は年に2回しか払わないので、毎月返済と比べると約半年分の利息が
余計にかかります。
その結果、総返済額が多くなってしまうのです。
例えば、借り入れ額3000万円
年間返済額 119万4228円(ボーナス返済あり)
年間返済額 119万2536円(ボーナス返済なし)
年間では1700円程度の差ですが、これが35年だと6万円程の差になります。
このように、できるだけボーナス返済は利用しない方がいいでしょう。
どうしても利用したいという方は、元金の30%程度までに抑えておくといいと思います。
5.最低でも自己資金を2割用意する
住宅ローンは大体何千万単位のローンになります。
毎月の返済額は元金に対しての金額で決まるということは言わずとも
周知のことだと思います。
例えば、4000万円の物件を購入しようと考えているとします。
自己資金0円の場合、そのまま4000万円に対して金利がかかります。
借り入れ額 4000万円
金利2% 35年元利均等返済* ボーナス返済なしの場合
毎月返済額 13万2505円 総返済額 5565万2100円
自己資金800万円の場合、残金の3200万円対して金利がかかります。
借り入れ額 3200万円
金利2% 35年元利均等返済 ボーナス返済なしの場合
毎月返済額 10万6004円 総返済額 4452万1680円
この違いがお分かりになりますか?
総返済額の差は1000万を超えています。
しかし、最初に800万円支払っています。
差し引いても300万もお得だということです。
同じ物件を購入したのにも関わらず、自己資金を2割用意すると
こんなにも差が出るのです。
また、この自己資金の問題ですが、少ないと金融機関の審査が厳しくなるという
側面もあります。
自己資金0円の人と自己資金500万円の人ではどちらにお金を貸したいと
思うでしょうか?
後者の方が金融機関の心証がいいのは当然です。
大体どのくらいの金額の物件が欲しいという目標があるのでしたら
今からでもいいので家計をしっかり管理して自己資金を貯めておきましょう!
しかし、自己資金が全くないけど不動産が欲しい!という方もいると思います。
そのような自己資金0円でも融資してくれる金融機関はあります。
自分の思いや希望をよく話して融資してもらうのも1つの手だと思います。
元利均等返済
毎月の返済額が均等になる返済方法。毎月の返済額が最初から最後まで一定なので
安心して返済計画を立てられます。しかし、長期ローンになると元金均等返済に
比べて返済額が多くなるというデメリットもあります。
元金均等返済
毎月の返済額の内、「元金部分」が均等で、利息分は元金が減るにつれて少なく
なっていく返済方法。元利均等返済に比べて早く元金が減るので総返済額も安く
なります。しかし、当初の返済額が多くなるので資金に余裕があった方が
いいでしょう。
6.住宅ローン診断士認定講習を受けてみる
今まで住宅ローンで失敗しない為の心得をお話してきました。
最後はいっそのこと「住宅ローン診断士認定講習」を受講してみてはいかがでしょうか?
こちらは「一般社団法人日本住宅ローン診断士協会」が主催している住宅ローン診断士を育成する講習です。
この協会についてはこちらを参照してください。
一般社団法人日本住宅ローン診断士協会とは?
住宅ローン診断士は、法令を守り、住宅ローン利用者の為に、中立公平な立場で相談にのり、診断・提案ができる専門家です。
つまり、住宅ローンのプロフェッショナルということですね。
その資格を取れる講習です。
はっきり言って住宅ローンで失敗するのは「知識不足」だからです。
知識がないから営業マンの話を鵜呑みにして提携ローンを組んでしまう。
知識がないから住宅ローンで破産してしまう。
冒頭でもお伝えしましたが、自己破産の2割が住宅ローンなのです。
なんて悲しいことでしょう。
それもこれも住宅ローンの知識が足りなかったからです。
そのような悲惨な状況に陥らないためにもしっかりと知識を学びましょう。
この講習はその住宅ローンについて体系的に学ぶことができます。
不動産関係に従事している方も勿論ですが、住宅ローンを利用する予定の方も教養として
受講してみてはいかがでしょうか?
受講料は4万円程かかります。
はっきり言って安い値段ではないと思います。
しかし、身の丈にあっていない住宅ローンを組んだ場合、どれだけのお金が毎月引かれていくのでしょうか?
35年という長い月日で考えた場合、本当にその返済額で暮らしていけますか?
住宅ローン診断士を持っていればそのようなリスクは軽減されると思います。
受講料で足踏みするか、きちんとした知識をもった上で住宅ローンを利用するか。
それは、ご自分で決めることですが後悔しない住宅ローンの利用を祈っております。
住宅ローン診断士認定講習について詳しく知りたい方は下記を参照してください。
住宅ローン診断士認定講習について
まとめ
いかがでしたでしょうか。
住宅ローンに対しての理解が深まりましたでしょうか。
ここでの内容はあくまで基本中の基本です。
住宅ローンについては自分でも勉強することをお勧めします。
また、専門的に学びたい方は「住宅ローン診断士認定講習」の受講を考えてみて下さい。
マイホームは一生の内で一番高い買い物です。
納得いく住宅ローンを選んで幸せな生活を送って頂ければと思います。
この記事が少しでもお役に立てたならシェアお願い致します。
スポンサーリンク